IoEという用語をご存知でしょうか。IoEは、「Internet of Everything」の略で、IoT(モノのインターネット)を含む、ヒトやコト(データ)などすべてのモノがインターネットにつながることをいいます。
IoT(Internet of Things)についての記事はこちら≫IoTとDXはどう違う?ICT・AI・RPAとの違いも紹介
IoEとDXはデジタルを用いた技術が根底にあり、生活やビジネスに影響を与える概念を指し、密接に関連しています。
本記事では、IoEの概要とDXとの関連、メリットやリスクについて説明します。
IoEとは?IoTとの違いは?
「IoE」は「Internet of Everything」の略で、あらゆるモノがインターネットにつながり、相互に連携することを指します。「IoT」(Internet of Things)の概念を拡大したもので、ヒト、プロセス、データ、そしてモノと、すべて結びつけます。
IoEの要素はまとめると次のようになります。
インターネットと結び付けるもの | 概要 |
ヒト | 人がインターネットとつながり、情報へアクセス、活用する。スマートデバイス、ウェアラブルテクノロジーなど。 例えば、ウェアラブルデバイスを通じて健康状態をリアルタイムで把握し、必要に応じて医療サービスに接続することが可能になります。 |
プロセス | 機器やシステムが互いに連携するプロセスを最適化し、効率を高める。ビジネスプロセスの自動化も含まれる。 例えば、在庫管理では、IoEを利用して商品の在庫状況をリアルタイムで把握し、必要に応じて自動的に発注することが可能になります。 |
データ | デバイスから収集する大量のデータを活用。データは解析され、有益な情報・インサイトを得る。 例えば、都市の交通状況をリアルタイムで把握し、交通渋滞を予測し、適切な対策を講じることが可能になります。 |
モノ | 物理的なデバイス、システムの接続。IoT。家電製品、工場の機械、車など。 例えば、スマートホームでは、家電製品をインターネットに接続し、遠隔操作や自動化が可能になります。 |
これを見てピンとくるかもしれませんが、IoEは未来の技術ではなく、すでに私たちのビジネス・生活で活用中のテクノロジーです。物理的なデバイスで収集されたデータは、システム間で連携され、その情報をもとに人々がつながり情報を共有して新たなビジネスチャンスが生まれます。
IoEによりスマートシティ、スマートホーム、スマートグリッド、スマートヘルスケアなど、様々な業界での応用が考えられています。
IoEとDXとの関連
IoEとDX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル化とデジタル技術の活用が、生活やビジネスに与える影響を表す点で共通しています。
IoEは、人々、プロセス、データとモノ(物理的なデバイスやシステム)が相互に連携してデータを収集し、情報を共有することによって、新たな価値を創出することを目指しています。
一方、DXは、デジタル技術を利用してビジネスプロセスに変革を起こし、新しいビジネスモデルの創出や、企業の競争力を強化することを指します。DXは、デジタルツールを導入するだけでなく、組織の文化や戦略を変え、顧客への価値提供やニーズに応える新たな方法を探求していくことです。
IoEは、データを収集し、情報を共有し、新しいインサイトを得るための手段を提供します。これはDXの実現になくてはならない部分です。DXの推進で企業がより効率的になり、新しい顧客価値を創出し、競争優位性を得るためには、データとインサイトの活用が必要だからです。
例えば、製造業におけるIoEの活用は、機械のパフォーマンスデータを収集して分析し、プロセスの効率を改善することが可能です。これはDXの一環として行われ、結果として企業は製品の品質を向上させ、生産コストを削減し、顧客満足度を高めることができます。
IoEとDXは、共に新しいビジネス価値と社会的価値を創出する可能性を持っています。
IoEの可能性とメリット
すべてのものがシームレスに連携するIoEがもたらすメリットは、ビジネスの範囲だけではありません。人々の生活、社会にも影響を与えます。
- 人々にとってのメリット
IoEでつながるには、各種デバイスが必要になります。スマートデバイスやウェアラブルデバイス、スマートホームなどは人々の生活の質の向上をもたらします。 - ビジネスでのメリット
製造業における機器やシステムがシームレスに連携するスマートファクトリーや、小売業のRFIDタグやスマートシェルフを活用した在庫管理がよい例です。リアルタイムで在庫管理を行い、在庫過剰や品切れを防ぎ、需要に応じた商品補充を可能にします。 - 社会全体でのメリット
IoEがもたらす未来という点で最もよい事例は、スペイン・バルセロナで2000年から推進されていたスマートシティプロジェクトがあげられます。街路灯にセンサーを取り付け交通量を把握したり、点灯の強さや消灯などをコントロールするなど、都市計画の改善やエネルギー効率の改善につなげています。
IoEの課題とリスク
ヒト、データ、プロセス、モノのすべてがつながるIoEの世界では、メリットばかりではありません。課題やリスクも少なからず考えられます。
主なリスクは、セキュリティとプライバシーの侵害があげられます。デバイスが増えるほど、ハッキングやデータ漏洩のリスクが高まるのは想像に難くありません。さらに、個人情報の取り扱いについての適切なガイドラインと規制が不足していると、これらの情報が悪用されてしまう可能性もあります。
また、デバイス間の互換性や標準化の不足、および新技術の導入と維持のコストも、IoEの実装における重要な課題となっています。
日本におけるIoE×DXはSociety5.0の実現
首相官邸ホームページでは、日本のスマートシティと題して「SDGsなど世界が抱える課題を日本のSociety5.0で解決する」としたカタログを公開しています。
首相官邸ホームページ「日本のスマートシティ」>https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keikyou/pdf/smart_city_catalog.pdf
世界的に急速な都市化が進んだ影響で、交通渋滞や水・エネルギーの供給などの環境問題が懸念されており、解決策としてスマートシティが重要視されていると切り出しています。
スマートシティ構築においては、日本が世界で評価されている都市基盤特徴の3本柱をあげており、これらにDXを用いることで社会課題解決と経済発展を両立させた、人間中心の社会(Society 5.0)の構築へと前進する、としています。
IoEとDXに取り組み、人と社会に新たな価値の提供を
IoEはすでに私たちの日常生活のさまざまなところに及んでいることがわかります。IoEの可能性、DXとの関連を理解することは、デジタル化とデジタル技術によってもたらされるメリットを最大限に活用する上で重要です。
まず、ビジネスや業務の中でデジタル化に取り組み、IoEとDXのアイデアを検討してみてはいかがでしょうか。デジタル化やDXに向くツールも色々あります。うまく活用して新たな価値を生み出していきましょう。
DXツールについてはこちらの記事も参照ください。